*おおっと* ソファに若い男がふんぞり返っている。一目見ただけで魔法使いだとわかる。立てかけた杖も、テーブルに置かれたグリモアも、装飾の多い服装も、それを証明して譲らない。まあ、大抵魔法使いと云ったらこんな格好をしているもんだが。 赤い目が俺を睨んでいる。黙っていても仕方がないので、視線で先を促した。険のあるまなざしは揺るがない。魔法使いが口を開く。 「それで、このスナップ写真を私に紹介しろと。」 「そうだ。」 やや、ばつが悪い。赤い目の険が増す。 「なぜ私が斯様に面倒なことをせねばならんのだ。」 不自然な沈黙。 「……さあな。水端に訊け。」 ははっひとのせいにしちまったさーせーん! おくびにも出さずに目の前の魔法使いの様子を窺うと、奴は心底けだるそうに溜息をひとつくれて赤い目を伏せた。どうやらその気にさせることには成功したらしい。その気、というか、問答が面倒くさくなっただけなのかもしれない。どんな理由でもいい。細い指が机の上に散らばった写真に伸びる。 「なんだこれは。」 「デワタ。ちょい前に航路が開通したんだと。フィールドにラフレシアがいるらしいぜ。」 「あのクソ男は植物を愛でる趣味でもあるのか。」 「さあな。相棒が不思議がるくらいには、俺にもわかんねえよ。」 「ふん。……そういえば、この植物によく似たものを、見たことがあるな。」 「いや待て云うな。」 「スー」 「云うなっつってんだろ!!」 「趣味が悪い。」 「同感だな。」 「あれだろう。大晦日の夜の大御所。」 「もういいから。」 「小林さ」 「いいって!!」 「……。」 「……。」 「デワタはこんな輩ばかりなのか?」 「俺に訊くなよ。」 「それで、クソ男は命令してやったのか。」 「ああ。散々見せびらかして、目の前でひとつ喰ってみせた挙句、どうしようかな、きみ次第かなと挑発したらしい。」 「同類ではないか。」 「俺に云うなよ。」 「喰わせてくれとねだるのではなく、命令しろか。自ら狗に成り下がるとはなかなかやりおる。」 「真面目に考察しなくていい。」 「はは。ざまあみろ。」 「……お前、ほんとにセリオ嫌いなんだな。」 「巨大なオリデオコンだな。」 「そのネタは聞き飽きた。」 「笑えるくらいにスーパーセルがずれている。」 「蝶忘れたことに気付いてやれって。」 「歩いて帰ればよいだろう。そんなこともわからんのか、低脳め。」 「……(こいつ…)。」 「……いつの間にこんなものを撮ったのだ。」 「98か。めでてえな。」 「Danke. レッケンベル生体工学研究所3Fにおける、セシル=ディモンLACrR一確には、もう少々Baseが必要なのでな。最近もっぱらここに通っているが、なかなかうまくはゆかんな。」 「ふーん。」 「前衛との距離、追従進路、立ち位置、リリース/IW/SW使用の判断、ターゲットコントロール、そして何よりも、速さが足りん。」 「なんのだよ。」 「アイテムを拾う速さだ。」 「拾うなよ。」 「これでしまいか。」 最後の写真を机の上に放り、魔法使いがソファに沈み込む。 「ああ。悪かったな。助かった。」 散らばった写真をぞんざいにかき集めて尻ポケットに突っ込む。用が済んだらさっさと撤収するに限る。変に感づかれてはまずい。 「……? なんだこれは。」 「あん?」 「……。」 さっさと撤収するに限る。 「待て。」 足が動かない。これが魔法ってもんかと悠長に考えている場合でもない。ぎこちなく振り向いて、努めて無害そうな笑顔を貼り付けてはみたが。 写真を見下ろしていた赤い目が俺に向けられる。内側の魔力を撥ねててらてらと光っている。女めいてうつくしい顔が、 「負けたのだな。クロバジェ。」 薄く笑ったのを、俺は確かに見た。 ■vs水端:「30minでより多くサンゴを集めたほうの勝ち」 【Hacking to the Gate!!】 シュタゲ面白すぎてやばい。あと2話残ってるのに追いついちゃったよおおお。
by shelldoney
| 2011-09-04 20:20
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